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獏論(幸福の科学アラカルト)
興味深い記事がありましたので紹介します。

KK報告7 新宗教の剽窃と捏造
2010/01/07
 
■  間違った八正道
 
 『幸福の科学』教祖・大川隆法氏は、仏道の根本修行である「八正道」について何冊かの著書で解説しています。しかしその内容たるや釈迦直説の法とは大きな違いがありました。例えば「正念」という修行の意味を知らず、「正業」と「正命」の意味を完全に取り違えるなど、全く素人同然だったのです。簡単に言うと、以下のようになります。
 
     釈迦説                    大川説
正念:○「正しい記憶」あるいは気をつけること--×「正しく念じる」念い
正業:○「正しい行為」業とはインドで言う行為--×「正しい仕事」職業
正命:○「正しい生活」一般人ならこれが職業   --×「正しい生活」心がけ
 
 釈迦の生まれ変わりなら、ありえない間違いです。仏教の入門書にも書いてあることなので、我々のような素人でもわかります。
 これは発刊当時の大川氏が仏教教義をろくに知らなかった証拠ですが、そんな人間でも形だけはマネできる種本がありました。前にも触れましたが高橋信次氏の著作集であり、そこに八正道が説かれているのです。
 『GLA』の教祖であった高橋氏は、形骸化してしまった仏教やキリスト教を脱却して、原点の釈迦やイエスに返るべきだと主張していました。その彼が会員たちに指導・実践させていた修行法が八正道です。
 
 確かに、原点からかけ離れてしまった日本仏教系で、この修行に重点を置くのはかなり珍しいことだったと思います。ただし高橋氏の教義にも矛盾・間違いなどが目立ちました。彼の著書では八正道の解説がされていますが、その一々をほとんどそのまま流用したのが大川氏の八正道です。正業と正命の取り違えも実は高橋氏に端を発しており、大川氏がその誤謬(間違い)までも丸々盗作した〈猿マネ〉の跡が見える顕著な例です。
 
 大川氏はこういう数々の幼稚な言動も、本を出すたびに間違いを指摘されて勉強したらしく、後に改訂版を出しながら解説を変えていきました。初めから先人たちが労してまとめられた仏教教学書や経典を読めば、大川氏の欺瞞が分かります。ところが『幸福の科学』の信徒会員は教祖を釈迦の生まれ変わりと信じ込んでいるためか、正統仏教の教義とまともに比較検討する必要性を感じないようです。
 
 大川氏は自身の初期の著作に、学生時代高橋氏の本を読んで「私は、この神理を知っている。むかし、これを学んだことがある」と口走ったと書いています〔『太陽の法』初版245ページ。改訂版では削除された〕。宗教好きな父親善川三朗氏がGLAの教えを学んでいたので、子供のころにある程度は教わっているわけです。
 
 こうして最初は、過去に教えを学んだと正直に書いていた訳ですが、結局は「利用できる」と思いついただけでしょう。彼が構成した教義の中核は、ほとんどGLA式正法の剽窃・アレンジに過ぎないのに、高橋氏の誤りを修正したから自分の方が悟りも深いと言う。元があるのだからそれに手を加える事は実にたやすい。それをもって誤りを修正したとは全く「死人に口無し」で、故人には反論ができない。

 
■ イエスと仏典
 
 大川氏の教義書『黄金の法』(初版)では、イエスキリストの、知られざる青少年時代についても言及され、仏教と関連付けられています。
 「イエスが十三歳のときには、エッセネ派の青年教師がイエスを連れてエジプトへ行き、約一年間、さまざまな宗教の見聞をさせております。さらに十六歳のときには、長老も含めて数人で西インドに旅行。ここでイエスは、インドの伝統的なヨガ行者の精神統一法を学び、仏典のなかでも、大日経典などを学びました。…
 さらに、イエスは、二十一歳の頃、中東はペルシアで、ゾロアスター教の善悪二元論の勉強や…」194頁~
 
 イエス師の少年・青年時代は、こうして諸外国を旅して、宗教の勉強をしていたというのです。何とも不思議な超能力で過去を見通したかのように書かれていますが、これにも種本があります。光田秀氏の訳書『エドガーケイシーのキリストの秘密』(ドラモンド著・たま出版/現在は新装版)です。
 
 ケイシーという故人は、超心理学や神秘学方面で有名なアメリカ人です。自己催眠状態に入って別人格を呼び覚まし、病気に悩む人に治療法を教える事で知られていました。その際、多くは相談者の前世に問題があったとして、現代に生まれ変わる前の数回の人生について、その当時の状況を物語ったのです。
 これらをリーディングと呼びますが、上記の本は、彼が時折語ったイエス師についての問答を集成・分析したものです〔だがケイシー氏の発言にもかなり疑惑があり、これにだまされないよう厳重な注意が必要〕。
 
 そしてここで注目すべき大川氏独自の付加は、イエス師が古代インドで修行して、『大日経』という仏典を学んだと書いている事なのです。
 この経典は密教関係者が製作したものです。密教の萌芽は4世紀始め頃で、最盛期は8世紀でした。そして問題の『大日経』が作られた時代は、7世紀半ばのこと。1世紀のイエスが、その600年後に書かれる経典を学べる訳がありません。
 大川氏は仏教史を知らないと前にも述べましたが、ここでも霊能者を気取ったくだらないウソが露見しています。
 
 しかし彼は、なぜイエス師が『大日経』を学んだと書いたのか。高橋信次氏の著書『心の発見 神理篇』(三宝出版)にこうあります。
 「ゴーダマ(釈迦)があまり愛について説かなかったため、大日如来はその神理を説かれたようである」(143頁)
 この部分を覚えていた大川氏は、愛を説くイエス師が、実はその観念をインドで学んできたように設定して、仏教の権威を高める工作をしたのでしょうか。ちなみに、大日如来は実在した人物ではありません。
 
 
■  絶版・改訂版で隠蔽工作
 
 2回にわたって詐偽の手法をいくつか取り上げ、虚言入門編としました。彼の著作をよく読めば、多くの欺瞞を発見できるはずです。『太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』という三部作の基本教義書は、何度か改訂を重ねています。無知な点や虚偽・矛盾について批判を受けてきたためか、都合の悪い部分を削除して隠蔽し、あるいは新しく書き加えて矛盾を取り繕っています。
 
 立教以前に大悟したと称していますが、それ以後に主張が次々と変わっていったのです。つまり迷走し続けた訳です。ここに注意しなければなりません。それが大悟した人物のすることでしょうか。
 大川氏の本は、絶版や改訂版が何冊も出ているようです。本紙で取り上げた彼の偽りも、こうしていつかは隠蔽されていくのでしょう*。人に間違いはつきものであり、訂正するのは良いことです。しかし宗教家面して宇宙的な悟りで得た真理だと平然とウソをつき、ばれたらそれを隠して誤魔化すというのは、悪徳宗教家ぶりを暴露しただけのことです。 
 
〔*追記:『新・黄金の法』を見ると、イエスの件で『大日経』のことがしっかり削除されているのに気付きました。イエスの少年時代についても改変があり、これが「霊界情報」だとされています。もちろん種本については触れてありません。2010/1/7〕


【転載元】獏論(幸福の科学アラカルト)
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